お口の病気

■年齢別の歯ブラシの種類と電動歯ブラシについて

歯ブラシは、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)などを機械的に取り除くように設計された清掃用具で、「ヘッド(植毛部)」、「ネック」、「ハンドル」からなっています。
歯ブラシには大きく分けると「手用歯ブラシ」と「電動歯ブラシ」があります。
一般に歯ブラシと呼ばれているのは手用歯ブラシで、年齢や用途によって様々な種類の歯ブラシが販売されています。

歯ブラシの構造


歯ブラシの種類

1.仕上げ磨き用歯ブラシ

仕上げ磨き用歯ブラシ

保護者がお子さんの歯を磨いてあげるための歯ブラシで、歯肉に優しい柔らかめの毛でできており、ハンドルは保護者が持ちやすく工夫されています。歯が生え始めの時に用いる歯ブラシですが、難しい場合にはガーゼなどを指に巻いて擦ってあげるという方法でも構いません。

2.乳歯列期用歯ブラシ(幼児期用)

乳歯列期用歯ブラシ
乳歯列(乳歯のかみ合わせが完成した状態)に適したヘツドの大きさで、ハンドルは子どもが握りやすい太さになっています。

3.混合歯列期用歯ブラシ(6歳から12歳頃の学童期)

混合歯列期用歯ブラシ
生えかわり期の凸凹のある歯並びに適した小さめのヘツドで、奥歯(第一大臼歯など)まで届きやすいネックの長さがあります。

4.永久歯列期用歯ブラシ(中学生から成人用)

永久歯列用歯ブラシ
口の大きさや動かし方に合わせて、植毛部のサイズは小さめのものから大きめのものまで様々あり、歯肉の健康状態などに合わせて、毛のかたさや毛先の形状などが工夫されています。
ハンドル形状もストレートタイプから、持ちやすくデザインされたものまで様々です。

5.矯正治療中に用いる歯ブラシ

矯正用歯ブラシワンタフト歯ブラシ
ワイヤーの下や矯正装置の周辺を清掃しやすいように、山型やU字型などに毛切りされています。
右の歯ブラシは歯と歯の間、歯と歯肉の境目、凸凹の歯並び、親知らずなど、通常の歯ブラシでは届きにくい部分の清掃をするための歯ブラシでワンタフト歯ブラシといいます。


電動歯ブラシについて

電動歯ブラシはヘッドが機械的に振動または回転するため、自分で歯みがきの動作をする必要がなく、短時間で手用歯ブラシと同程度の効果が得られると考えられている方がとても多いのですが、これは大きな間違えです。

本来、ご高齢者や手のご不自由な方のために開発されたのが電動歯ブラシの始まりですので、ご高齢者や手のご不自由な方のように、明らかにご自身の手で歯ブラシを動かすよりも、電動歯ブラシを動かさなくても当てるだけでも使った方が良いと考えられる場合には、そのような使用法でも構いません。

しかし、健常者の方が使用する場合には、使用法は全く異なってきます。電動歯ブラシは普通の手用歯ブラシと同じように、動かしながら使用することが必須であり、電動だから動かさなくていいというのはとても大きな勘違いなのです。

また、短時間で手用歯ブラシと同程度の効果が得られると考えられていることもたいへん大きな勘違いなのです。電動歯ブラシであろうが手用の歯ブラシであろうが、正しく動かし、正しく歯や歯茎に当てなければ、どのような道具を用いたとしても結果は同じです。
したがって、普通の手用歯ブラシが上手に使えなければ、電動にされてもあまり意味がないともいえます。

仮に、普通の手用歯ブラシを上手に使える方が、電動歯ブラシを用いた場合には、より短時間で手用よりも効率よく短い時間で同程度の結果を出せますよというのが、電動歯ブラシ使用の意義なのです。決して使うだけですべてがうまくいくというような魔法の杖ではないのです。
また電動歯ブラシにした結果、ヘッドが大きく操作性が悪く上手に狙った場所に当てられなかったり、振動があるので磨けていると錯覚してしまったりと、落とし穴もたくさんありますので使用に際しては注意が必要です。

また、電動歯ブラシには振動型と回転型のものがありますが、一般的に振動型は歯周病に対して効果的であり、回転型は虫歯に対して効果的であると考えられております。
いずれにしましても、どちらのタイプの電動歯ブラシをお使いになっても、正しく歯ブラシの動かし方を理解して使用しなければ宝の持ち腐れになってしまいますので、まずは手用の歯ブラシが上手に使えるように練習されることが一番です。

毛先の形状について

1.ラウンドカット毛
歯肉を傷つけないように毛先の1本1本が丸く加工されていて、歯肉にやさしい形状になっています。

2. 超極細毛
歯と歯の間や歯周ポケットに毛先が届きやすいように毛先が細く加工されており、歯周病予防などに効果的な形状になっています。

毛先の硬さについて

歯ブラシのパッケージには歯ブラシの硬さが表示されています。自分に適した硬さを選びましょう

ふつう   : 一般的な硬さで、効率よくプラークを除去できます。

やわらかめ : 歯肉への当たりがやさしく、歯肉が敏感な人や歯肉から出血
        が見られる人でも安心して使用できます。プラーク除去率は
        「ふつう」より低くなるので、ていねいな歯みがきが必要で
        す。

かため   : プラーク除去率は高いのですが、強い力でみがいたり大きく
        動かしたりすると、歯肉を傷つける恐れがあるため、みがき
        方に注意が必要です。


歯ブラシの取り扱いについて

1.使用後のお手入れ

使用後は流水下でこすり洗いしてよく汚れを落とし、風通しの良い所でヘッド(植毛部)を上にして保管しましょう。できれば窓際の日光が当たるような場所であればさらに良いです。

2.歯ブラシの取替え時期
歯ブラシの劣化とプラーク除去率
歯ブラシは徐々に劣化し毛先が開いてきてしまいますが、毛先が開いてしまった歯ブラシはきちんと狙った部位に毛先が当たらなくなるばかりか弾力がなくなってしまい、プラークの除去率が著しく低下してしまうのです。

このように毛先が開いてしまっているのに、いつまでも使い続けているとせっかく歯磨きをしていただいてもプラークをしっかりと除去することができず、歯磨きをしているのに虫歯や歯周病になってしまうというようなことが起こってしまうのです。

現在の考え方としては、高価な歯ブラシを1か月も2か月も使い続けるのではなく、できるだけ廉価で質の高い歯ブラシをできるだけ短い期間で、できるだけフレッシュなうちに交換するというのが一般的な考え方になっております。
ちなみに1本400円する歯ブラシを2か月間使用した場合、一か月のランニングコストは200円ですね。
しかし、歯ブラシの毛は2か月間も健全な状態を保つことはできません。せいぜい健全な状態を維持できるのは、3週間から1か月が限界です。残りの1か月は劣化した歯ブラシで全く効果のない歯磨きを行ってしまっているのです。

これを、一本100円の歯ブラシにして2週間で交換した場合には、常にフレッシュで劣化の非常に少ない歯ブラシを常に使えるようになりますので、歯磨きの効果も非常に出やすくなりますし、1か月にかかるランニングコストも200円と半分になるのです。
ぜひ歯ブラシに対する考え方を見直していただければと思います。