虫歯の症状
虫歯はその進行度により、CO、C1、C2、C3、C4に分けられます。
CO
ごく初期の虫歯で、歯の表面からカルシウムやリンなどが溶け出してしまっている状態をいいます。まだ歯に穴などはあいていませんが、歯の表面に白い斑点として認められ症状はまったくありません。う蝕前病変、要観察歯ともいわれ、この段階で十分な予防管理をすれば虫歯を進行させずにすみます。
C1
表面のエナメル質に限局した浅い虫歯です。痛みが出ることはほとんどありませんが、しっかりとした歯磨きを行ったりフッ素を応用したりすることで、虫歯がこれ以上進行しないようにすることが重要です。磨くことが困難な状況であるなど、どうしても治療が必要な場合には、虫歯の部分を削除して修復材をつめるという、比較的簡単な治療ですみます。
C2
象牙質にまで進行した虫歯をいいます。象牙質はエナメル質ほど硬くないので進行が早く、虫歯の穴が歯髄に近づくにつれて、冷たい物や甘いものがしみるようになります。また、ひどくなってしまった場合には、ずきずきとするような痛みがでる場合もあります。しかし、このような症状がでるのは、若い歯の虫歯に起こりやすい急性齲蝕(急性の虫歯で、非常に急速に進行するため、急激に痛みが出ることが多い虫歯のことをいいます)に多いようで、大人の場合に起こってくる慢性齲蝕(慢性の虫歯で、非常に進行が緩慢であるため、そうとうに虫歯が深くなっても痛みが出にくい虫歯のことをいいます)の場合には、痛みがないことも非常に多くあります。
治療はC1の場合とほぼ同じですが、深いものでは歯髄を保護する処置などが必要になります。また、穴が大きくなっているものでは型を採って金属などの詰め物(インレーなど)を作り、これを装着しますが、象牙質はエナメル質よりも虫歯が進行しやすいので、一刻も早く治療をしましょう。
C3
虫歯が歯髄にまで達したものをいいます。C2で冷たいものがしみていたのが、次第に熱いものに痛みを感じるようになり、その痛みの持続時間が長くなってくるとこの状態に近づいていると考えられます。また、物が触れたり物がつまったりすると、非常に痛むというような症状もでてきます。虫歯により歯髄炎(歯髄の炎症)を起こすと、何もしなくてもズキズキ痛むようになり、歯髄を取り除く処置である根管治療を行わないと痛みを抑えることはできないようになります。
さらに炎症が進行すると歯髄は死んでしまいますが、歯髄が死んでしまうとばい菌が歯髄腔を通って根の先端部に病巣を作ります。
歯を噛み合せたときに、歯の根の先あたりに痛みを感じるようになります。
これが進行すると激しい痛みが続くようになり、根の病巣が大きくなると歯グキが腫れたり膿が出てきたりします。
C3以上に進行した虫歯の治療には、根管治療といわれる歯の根の治療が必要となりますが、根管治療後は歯が非常にもろくなってしまいますので、クラウンなどの「かぶせもの」を装着することになります。できれば、虫歯がここまで進行する前に治療をしたいところです。
C4
虫歯が進行し歯冠のほとんどが崩壊し、根だけが残っている状態です。この段階になると多くは歯髄が死んでしまい、痛みが消えてしまうこともあります。しかし、歯髄が死んでしまったまま放置すると、根尖に病巣(根尖病巣という)をつくり大きく腫れて、激烈に痛みがでるというような症状を引き起こすことがあります。
歯の根を使って再び噛めるようにするために十分な健全歯質が残っていれば、C3の場合と同じように根管治療を行い残った根を使って土台を作りクラウンを装着しますが、健全な歯質が残り少なかったり、根の先の病巣が非常に大きくなっている場合には抜歯になってしまうこともありますので、早急に治療をしてもらうようにしましょう。