お口の病気

子供の虫歯と大人の虫歯

生まれたばかりの赤ちゃんがやわらかく弱々しいように、生えたばかりの歯も未熟なため、う蝕感受性(虫歯になるってしまう度合い)が非常に高く、さらに-度権患してしまうとその進行も大変速いのです。
成熟したエナメル質が脱灰(溶けてしまうこと)しはじめるpH(臨界pH)が5.5~5.7前後なのに対し、幼若永久歯や乳歯、また象牙質が露出した根面などはpH6.2ぐらいから脱灰してしまいます。
その他、年齢や全身的疾患、薬物などの影響による唾液分泌量の変化、食生活の変化などによってもそのリスクは大きく変わってしまいます。

年代別の虫歯リスク

子供の虫歯

乳歯や幼若永久歯(生えたばかりの永久歯)は、虫歯の進行がとても早く、痛みがあまりないまま進行していくのが特徴です。
そのために、子供の虫歯は気がつかないうちに進んでいき、数ヶ月で歯に大きな穴が開いてしまうということも少なくありません。
乳歯の虫歯は、「どうせ生え代わるから」と楽観的に思われがちですが、それは間違えです。
それでは、なぜむし歯にしてはいけないのでしょうか?

発育が遅れる
食物を十分に噛み砕くことができずに、栄養の吸収が不十分になってしまうことにより、発育や発達が遅れたりすることがあります。

顎や顔面の発育に悪影響
虫歯により正常に噛むことができなくなってしまうため、顎の発達が対照的にならず、顔が歪んだ形になってしまうことがあります。

歯並びが悪くなる
乳歯がむし歯になると永久歯が正しい位置に生えることができなくなってしまったり、間違った順序で生え代わってしまうことがあります。
その結果、歯並びが悪くなります。

他の病気を併発する
歯や歯ぐきの病気は、病巣感染を起こしやすい病気の1つです。
むし歯が進行して神経まで侵し、歯の根の先に化膿巣ができる場合があります。

乳歯および幼若永久歯のカリエスリスク

萌出後間もない乳歯や幼若永久歯は、石灰化レベルが低く、虫歯菌が産生する酸に対する抵抗力が弱いのです。また、生えたてであるため、咬耗(歯がすり減ること)していないために、高い割合で深い溝があることから、食物残渣や細菌が停滞しやすいため、虫歯に対する感受性がきわめて高いのです。
特に、第一大臼歯(6歳臼歯)には深い溝が多く、萌出している途中ですでに虫歯になってしまい、完全に生え終わった時には深い虫歯ができてしまっているということも多いのです。こういった虫歯を萌出時う蝕といいますが、これを防ぐことが第一大臼歯を喪失させない第一歩となるのです。
したがって、第一大臼歯が生え出して来たらワンタフトブラシ(小さな範囲を重点的に磨くための専用のブラシ)などを使って丁寧に歯磨きをしてあげることが絶対に必要になります。
また、歯医者さんで行ってもらうフッ素塗布は、いつ塗布をしてもらっても良いというわけではなく、歯が未成熟で弱いこの時期に塗布してもらう事が非常に大切なのです。

大人の虫歯

歯は萌出後3年くらいの年月をかけて徐々に成熟していきます。このことを萌出後成熟(post eruptive maturation)といいますが、歯の形が変わったり、大きくなるというわけではありません。

この現象は歯の酸に対する抵抗性すなわち質が向上していくことを意味しているのであり、大きさなどが増すという意味ではないのです。
萌出したての歯は石灰化度が低く、フッ素の取り込みも少ないため酸に対する抵抗力が低いのですが、唾液などに含まれるカルシウムやリンが徐々に歯に沈着していくことにより、石灰化度が上昇するとともに、食品や歯磨き粉などに含まれるフッ素なども徐々に歯に取り込まれていくことにより、酸に対する抵抗性も上昇していくのです。

このように、幼若永久歯は3年くらいの年月をかけて徐々に成熟し虫歯になりにくくなっていきますので、子供の虫歯と違ってあっという間に進行して大きな穴があいてしまうという様なことは起きにくいのです。
また、永年の咀嚼によって歯も磨り減ってくるために、溝も浅くなりますので永久歯が虫歯になってしまうリスクは幼若永久歯に比較して下がっていきます。

しかし、加齢とともに歯周病が進行してくる可能性は高くなりますので、それによる歯根の露出が問題になってきます。
露出が著明になる35歳以降では、歯根面に虫歯が起こりやすくの、40~50歳の間に急速に増加します。これは、歯根面セメント質の臨界pH(歯が溶けだしてしまう酸性度)が、幼若永久歯エナメル質や乳歯エナメル質と同様に高いためなのですが、歯根面う蝕には食生活習慣や疾患などが強く影響を及ぼします。

・食事回数の多い人。 
・のど飴などのアメ類を常用している人。
・砂糖入りコーヒー・紅茶・清涼飲料水などを1日何回も飲む習慣のある人。
・歯周病治療後のプラークコントロールが不良な人。
・唾液分泌量の極端に少ない人。

腺分泌抑制剤の投与を受けている人
放射線治療で唾液腺に障害を生じた人
手術によって唾液腺を摘出した人
唾液の分泌が低下する疾患の人(シェーグレン症候群など)