■早産と早期低体重児出産
早産の原因としては様々なものがありますが、感染というものは早産全体の約30%に関連があると言われております。
(膣炎、子宮頚管炎、絨毛羊膜炎などの感染や前期破水、子宮頚管不全症 、妊娠中毒症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮発育不全、子宮の奇形 、用水過多症、前置胎盤、多胎、胎児仮死(胎盤機能不全)などの病気は当然、炎症反応を引き起こし、サイトカインやケモカイン、そして活性化された白血球などからプロスタグランジンや他の子宮収縮物質の放出を助長してしまうために、早期に頸管熟化や子宮収縮を起こさせてしまい早産を促してしまうと考えられております。
このように産科器官に何らかの原因により炎症が起こりますと、早産を助長してしまうわけですが、そこにさらに歯周病のような大きな感染巣が存在しますと、さらに拍車がかかり早産が増えてしまうわけです。
実際の疫学的研究では歯周病に罹患していると早産の危険性は5倍から7倍になるという報告もあるくらいですので、やはり注意が必要だと思います。
また、口腔内の歯周病細菌が血中に入り産科器官にまで達し、そこで直接的に感染が起こると、感染部での早期の炎症性物質の上昇による早産の可能性だけでなく、胎児の発育不全による低体重児出産も引き起こすことがわかっております。
動物モデルを用いた研究では、歯周病細菌を感染させるとそれらの細菌が、胎盤や胎児に感染することが確認されており、その胎児は発育不全や死産となることを示しており、口腔内の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通過し、胎児に直接感染が起こるのではないかと考えられております。
実際に30%の切迫早産妊婦の羊水中から代表的な歯周病細菌であるP.gingivalisが検出されているという報告があります。
このように、産科器官の感染は、感染部での早期の炎症性物質の上昇による早産の可能性だけでなく、胎児の発育不全による低体重児出産も引き起こしてしまう可能性がありますので注意が必要です。